

2026年3月30日、東京・銀座で開催されたシンポジウム「『わかる』が広がるやさしい教室—やさしい日本語がひらくインクルーシブな学びー」。言葉や障害の壁を乗り越え、誰もが「共に学ぶ教室」をつくるために、私たちは何をすべきなのか。イベントの最後を締めくくった、代表による閉会の挨拶を掲載します。

本日は、お集まりいただき、ありがとうございました。
生成AIと言う新しい技術の可能性と同時に限界もしっかりと感じてもらうことができたでしょうか。それは単に「間違いがある」といった限界ではなく、むしろ技術が扱う言葉や学びの狭さという意味の限界かもしれません。
しかし、同時にやはり大きな可能性がある。その子が将来にわたって生きていくための土台となる言葉、そして、これからの社会において、AIそのものを使いこなしていく力と言うのは、言葉や障害の壁を乗り越えられるポテンシャルを秘めています。
「なぜ、eboardは、外国ルーツの子や障害のある子の支援に取り組むんですか?」
この取り組みを初めて、そう聞かれることが増えてきました。技術の発展もさることながら、実は、ある言葉がやさしい日本語の取り組みへのきっかけをくれました。字幕の取り組みを通じてお会いした難民支援団体。そこの卒業生、大学生の言葉です。
“自分の子どもは、絶対に日本の学校には、通わせたくない。”
きっと優秀で、人一倍頑張って、日本語もできるようになって、そんな中でもそういう言葉が出てしまう。私たちは、彼女にどんな経験をさせてしまったんだろう、そう思いました。
私には、たくさん日本の好きなところがありますが、愛国心がある、というほどではありません。学校に至っては、子どものころ、できれば行きたくない場所でした。でもそんな自分でも、そう言われてしまうと、今、教育に関わる1人の人間としてとても悔しいし、申し訳ない。
やさしい日本語の取り組みは、そんな思いから、私たちにできる最初の小さな1歩として、スタートしました。
私たち、NPO法人eboardは、ICT教材eboardを通じて10年間以上にわたって、一人一人が自分のペースで学べる取り組みを進めてきました。学校に行けない子、塾に行けない子、確かにたくさんの子供たちに学びを届けることができました。
しかし一方で、社会は、個々に最適化された学びを押し進めることで、私は学べる、あなたも学べる。それなら、それぞれで学べばそれで良い、と言う風土を作ってしまったのかもしれません。
私も学べる、あなたも学べる、だから共に学ぶ。さらには、私もあなたも学ぶことが難しい。だからこそ、共に学ぶと言う社会を、私は実現したいのです。その時、やさしい日本語や生成AIのようなツールは、強力な道具になります。
私たちが設立の頃から目指してきた「学びをあきらめない社会」は、言葉は変わらずとも、そんなふうに、そんな社会のあり方にアップデートされつつあります。
世界、そして日本国内が一言で言ってしまえば分断のような局面にある中で、今日ここにいる私たち、そしてみなさんの現場での取り組みは、時に風当たりが強く、特にこれからもっと苦しい場面が出てくるのかもしれません。けれど、今、目の前にいる子を支えることは、今の教室全体の、そして難民の彼女が言ったように、次の世代の子どもたちの学びや社会を形作っていきます。
私たちNPO法人eboardができることは少ないかもしれませんが、技術やICTを通じて、先生方や子どもたちの力になっていければと思っています。ぜひ今後とも私たちの活動を見守って、共に歩んでいただけると幸いです。
本日は誠にありがとうございました。これにて、やさしい日本語シンポジウム閉会とさせていただきます。
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NPO法人eboard 代表理事
中村 孝一
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