
NPO法人eboard(イーボード、代表理事:中村孝一)は、不登校支援において先進的な取り組みを行う全国14自治体を対象に調査を実施し、行政・教育関係者向けの報告書を制作しました。本報告書は、2026年3月17日(火)より以下のフォームからダウンロードできます。
本調査は、2025年には不登校児童生徒数が35万人を超え、うち約3人に1人が専門的な支援を受けられていないという社会課題の解決のために、自治体と民間団体が連携して持続可能な支援体制を構築するための、具体的なロードマップを示すことを目的に実施しました。
1.自治体による不登校支援の段階の「4類型」を提示:公費助成の程度と質的保障の在り方から、自治体の支援施策を「4つの型」に分類。自治体の現在地の客観視を可能に。
2.不登校支援の「2つの発展経路」と現場の壁を可視化:
「制度拡充(行政主導)」と「民間育成」の2つの経路において、予算・人員・組織文化の観点から生じる具体的なボトルネックを整理。
3.eboardからの有効な支援のための提言:
調査結果を受け、不登校支援を長年続けるeboardより「フリースクール等民間団体との早期の関係構築」、「各自治体の地理的条件や人口動態に応じた、制度設計」、「学校内・外、両輪での支援」の3つを提言。
(1)不登校支援の「4類型」:
国内外の民間の多様な学びの場に関する行政の関わり方についての先行研究をもとに、「公費助成」の度合いと「質的保障への関与」の2軸によって、自治体の不登校支援モデルを4類型に分類しました。

(2)基本的支援からの2つの「発展プロセス」
自治体による不登校支援が発展していくプロセスについて、2つの経路が確認されました。
1つ目は、学校内の体制整備や学校外の公的な学びの場の整備を中心に進める「基本支援型」から、公的運営の学びの場の拡充とともに、民間(フリースクール等)の質向上をねらいとしたソフト面での支援を行う「公的担保支援型」に移行する【A:制度拡充経路】。
2つ目は、「基本支援型」から民間への支援や利用家庭への支援を行う「民間支援育成型」に移行する【B:民間育成経路】。
官民が政策段階から連携する「包括支援型」は最も充実した類型ですが、そこへの一足飛びの進化は困難であり、実際には段階を追って支援を深化させている状況が明らかになりました。

(3)【A:制度拡充経路】におけるヒアリングで聞かれた声
(自治体担当者からの声)
(民間団体からの声)
(4)【B:民間育成経路】におけるヒアリングで聞かれた声
(自治体担当者からの声)
本調査結果を受け、NPO法人eboardは、自治体が実効性のある不登校支援施策を推進するための提言を報告書内で取りまとめています。
①フリースクール等民間団体との早期の関係構築:
現在の不登校の増加、人口減少地域における学校の統廃合等を考慮すると、フリースクール等民間団体の存在なくして、不登校の子の居場所や学びの確保は実現できない。【B:民間育成経路】の土台となるフリースクール等団体との関係構築には、時間を要するため【A:制度拡充経路】を強化していく場合でも、並行してできるだけ早期に民間団体との関係づくりを進めていくことが望ましい。
②各自治体の地理的条件や人口動態に応じた、制度設計:
フリースクールへの運営費補助やメタバースによる不登校支援等の新しい取り組みでは、同じ施策であっても予算措置やその運用体制において自治体間に違いが見られ、それが成果の違いにもつながっていた。施策そのものだけでなく、各自治体が置かれた地理的条件や人口動態、民間団体との関係性等の要素に基づき、近しい条件に置かれた好事例の細部から学び、制度設計することが求められる。
③学校内・外、両輪での支援:
校内の居場所と学校外(民間フリースクール等)の支援を切り分けず、一体的に進めること 。官民問わず、学校外での取り組みが着目されがちだが、本来的には学校や教室がすべてのこどもが安心して過ごし、学べる環境であることが望ましい。学校外での居場所や学習機会の確保は欠かせないが、安易に「学校に来れないのであれば、学校外で支援すればいい」という考えに偏ってしまっては、学校をさらに「学校に合う子の場所」にしてしまいかねない。学校外との円滑で充実した連携のためにも、「基本支援型」に位置づけられる取り組みは欠かせないものである。
文部科学省の調査(※)によると、不登校児童生徒の数は現在35万人を超え、過去10年間で、小学生の不登校は5.3倍、中学生は1.4倍にと、増加の一途をたどっています。それに伴い、サポートを受けられていない子どもも増加しており、およそ「3人に1人」が専門的な相談・指導等を受けられておらず、従来の公的支援の枠組みだけでは対応が困難な状況にあります。
※⽂部科学省2025 年10⽉発表「令和6 年度児童⽣徒の問題⾏動・不登校等⽣徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」
これに対し、多くの自治体では、文部科学省が示す基本政策にとどまらず、フリースクール等の民間団体への直接・間接的な支援や「学びの多様化学校」の設置、メタバース(バーチャル空間)の活用といった、従来の形に捉われない新たな施策を打ち出しています。
しかし、同様の施策を導入しても、自治体によって事業の進展や成果に差異が生じています。これは、各自治体が抱える「予算・人員・組織文化」といった目に見えにくい実務上の課題が、施策の成否を分ける要因となっていると分析しています。

こうした背景を受け、本調査事業で、官民による多様な不登校支援の取り組みを構造的に「類型化」するとともに、施策を推進するプロセスで直面するボトルネックを明らかにしました。これにより、本調査がこれから施策を検討する自治体や行政との連携を目指す民間団体にとって、より円滑なサポート体制を構築するための実践的なガイド(ロードマップ)となることを目指しています。
※本調査では、自治体の抱えるリアルな課題や組織的なボトルネックを明らかにするため、調査対象自治体名は非公開としています。
調査報告書は以下のフォームよりダウンロードできます。
本件に関する問い合わせ先
・NPO法人eboard 今(こん)
・support@eboard.jp