柏市教育委員会

by koichi_n on 2019年12月25日 柏市教育委員会 はコメントを受け付けていません。

発達や特性に応じたICT活用で、不登校児童・生徒を生活環境からサポート

柏市教育委員会(千葉)

#自治体導入 #不登校支援 #特別支援 #関東

授業・活用のポイント

  1.  不登校支援を行う適応指導教室で、eboardを自学教材として導入。
  2.  市内各校にも、不登校や別室登校生徒のためのアカウントを発行。様々な環境での学習をサポート。
  3.  特別支援学級では、発達段階や特性に応じて、映像授業やドリルを授業内で活用。

柏市での不登校支援の取り組みについて、教えて下さい。

柏市教育委員会 杉本先生

柏市教育委員会では、不登校・就学等の相談窓口を設けている他に、別室登校や不登校の児童生徒に対して、大きく2つの支援を行っています。1つ目は、市内に4ヶ所ある適応指導教室や学習相談室での支援です。ここでは、専属の指導員が子ども達(小中学生)の学習指導や生活習慣の改善に関する支援や相談を行っています。

2つ目は中学校での取り組みですが、それぞれの学校と協力した学習環境の整備です。別室登校や不登校の生徒の中には、在籍校の先生が直接子どもとの連絡の窓口になって、学習を支援する場合もあります。そうした場合に備え、市内全中学校にeboardアカウントを発行して、一人ひとりが自立的に学習を進められる環境づくりに取り組んでいます。

eboardを使い始めたきっかけ、背景は?

別室登校や不登校の児童生徒の多くが、学習や進路に関わる不安を抱えています。一方、教室や学校に来られないことで支援の手が届きにくい状態が長く続いてしまうと、学習が遅れがちになり、不安もいっそう大きくなってしまいます。ICT教材を使うことで、場所や時間を限定せず、個別に学習できるという観点から、eboardを導入しました。

現在の活用状況について、教えて下さい。

◯ 不登校支援の自学教材として
適応指導教室や学習相談室などでは、自学教材として活用しています。これらの場所では、教科ごとの時間割はなく、子ども達と何を勉強するか確認しながら学習を進めます。指導員に勉強を教えてもらう子もいれば、その時の状況や学習内容に合わせてeboardを使う子もいます。

eboardの学習動画やドリルを使えば、授業を受けている時のように一歩ずつ学習を進められます。そのため、新しい範囲を勉強するときや、わからないことがあるときにeboardを活用する子が多いようです。特に中学生の場合、学年が上がるにつれて学習内容も難しくなっていくので、映像授業があることで安心して学習できるという子もいます。また、eboardは中学の主要教科が揃っているので、決まった課題がない時に「とりあえずeboardを開いて、好きな勉強をする」という使い方をする子もいますね。

適応指導教室の様子

◯ 家庭学習教材として
適応指導教室や学習相談室といった場所に来られない子ども達の中には、家庭学習の教材としてeboardを活用しているケースもあります。先生が子どもとの連絡窓口になっている場合、その子の状況にあわせてeboardを紹介しています。eboardは学習履歴が残るので、どの教科にどのくらい取り組んだのかを大人も確認できます。学校でそうした履歴を確認しながら、その時の状況にあわせた支援につなげられるように活用しています。中には、eboardを使って継続的に学習を続けている子もいて、学習履歴を踏まえて家庭学習を評価に反映できないか検討する動きもあるようです。

eboardの学習履歴画面

◯ 特別支援教室での授業教材として
一部の特別支援学級では、映像授業やドリルをそのまま授業にとりいれているところもあります。発達段階や特性に応じて反応が全く違うのですが、文字(教科書やノート)を使った学習は苦手でも、音や映像を使った学習であれば得意という子にとっては、eboardは使いやすい教材のようです。動画に人が映っていないので注意がそれにくく、また、画面の中だけで学習が進んでいくというのも集中しやすいようですね。

eboardの動画画面

eboardを利用する上で、または日々の授業で工夫・意識されているところは?

不登校支援については、活用方法を子ども達に任せているところでしょうか。不登校の子ども達の支援にあたっては、子ども達の声を大人が聞くことがとても大切だと感じています。みんなで同じことをするという環境が苦手な子も多いので、学習支援であれば「何を勉強するのか」を一人ひとりに聞いていくところからスタートします。学校の課題や自分で持ってきた教材から始める子が多いですが、自分の好みや課題の内容に応じて各自eboardを活用しています。

子ども達の中には、席についたらまずeboardを開くような子もいますが、教科書やノートを使う方が慣れている子もたくさんいます。大切なのは学習に向き合えることなので、それぞれのスタイルに合った方法で取り組めるよう意識しています。

子ども達や学習環境に、どういった変化がありましたか?

◯ 子ども達の変化
学校から足が遠のいてしまった原因の一つに、授業についていけない、学習が分からないといった、いわゆる「学業不振」が挙げられます。欠席が続くことで、ますます学習から遠のいてしまい、自信を失っていくというサイクルに陥ってしまうのです。

外出することが難しくなってしまった子や教室に入ることができなくなってしまった子でも、「勉強したい。」「勉強しなくちゃいけない。」という気持ちが全くない子はいません。子ども達の学びの保証は、とても重要なことであると捉えています。

実際にeboardを活用して自分から学習に取り組めるようになった子は何人もいます。「繰り返し動画を見ることができるので、1度で理解できなかったことが分かるようになった。」「自分の進度に合わせて学習に取り組むことができる。」「前の学年に遡って、苦手なところから学習できる。」と言って、今までよりも学習の幅が広がってきています。

さらに、学習に対し消極的だった子も、動画を見ることには抵抗がないようです。今後は、eboardを活用している中で、分からないところがあったときに、解説したり、説明したりできるような支援体制を目指したいと考えています。

◯ 学習環境の変化
eboardのアカウントを全中学校に発行したことにより、教室に入れない子たちの居場所にWi-Fiを設置してくれた学校があります。また、適応指導教室や学習相談室で、一人ひとりが自分のペースで学習できるように、タブレットを配備しています。

まだ始まったばかりの取り組みであり、試行錯誤をしている段階です。アカウントを発行するだけでなく、その後、どのように学習を進めていくのか、子ども達自身が考え、決定していく中で、必要に応じて支援できるよう、引き続きeboardの効果的な活用について考えていきます。

学校・自治体でのeboardの導入・ご活用については、以下のページをご覧ください。

学校・自治体でのご活用について
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