2023.10.05 最新情報

ICT教材eboardのデジタルドリルで、「UDデジタル教科書体」が選択可能に。導入希望の先着100校を募集。

NPO法人eboard(イーボード)が開発・運営するICT教材eboardのデジタルドリルのフォントとして、「UDデジタル教科書体」を選択できるようになりました。「UDデジタル教科書体」は、フォントメーカーの株式会社モリサワがディスレクシア(読み書き障害)などに配慮して開発した、ユニバーサルデザイン書体です。NPO法人eboardは、ICT教材eboardを利用する学校・団体の中で、「UDデジタル教科書体」の導入を希望する学校(先着100校)を募集しています。




小中学生の8.8%に、学習面や行動面で著しい困難

映像授業とデジタルドリルで個々に応じた学習をサポートするICT教材eboardは、公立学校および個人は無償で利用することができ、全国11,000校以上の教育現場で毎月20〜30万人が利用しています。利用者の中には障害や特性等から学習に困難がある子も多く、2022年度の個人アカウント申請のうち、37.1%が「障害や特性等から、学習に困難がある」という理由でした。これは、アカウントを申請する理由の中では最も高い割合を占めました。



全国的に見ても、2022年の文部科学省調査で「通常学級に在籍する小中学生の8.8%に、学習面や行動面で著しい困難」があると指摘される一方、学校・教育現場での理解不足や対応の遅れが課題となっています。



▲文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する 調査結果(令和4年)」より

こうした現状を受けて、ICT教材eboardでは、学習の悩みを解消・軽減する機能の開発に取り組んできました。国内で唯一、聴覚障害への機会保障を行っている映像授業字幕(やさしい字幕)や、デジタルドリルのふりがな機能、映像授業のチャプター機能などの各種サポート機能などにくわえて、今回、フォントによる読みの困難に対応するため、「UDデジタル教科書体」を選択できるようになりました。


ディスレクシア(読み書き障害)にも配慮した「UDデジタル教科書体」

株式会社モリサワの「UDデジタル教科書体」は、デジタル教科書をはじめとしたICT教育の現場に効果的なユニバーサルデザイン書体です。学習指導要領に準拠し、ディスレクシア(読み書き障害)、ロービジョン(弱視)などに配慮しています。

◆「UDデジタル教科書体」について詳しくはこちら(株式会社モリサワ):https://www.morisawa.co.jp/topic/upg201802/



▲一般的な教科書体、ゴシック体との違い(画像:株式会社モリサワ提供)

ディスレクシア(読み書き障害)は、学習障害の一つで、知的な発達には遅れはないものの、文字や文章の読み書きに困難があります。周囲も自分自身も、この障害に気付かないことも多く、努力しても学習の成果が出ないことから学校の授業に参加しづらくなり、不登校などにつながることもあります。

読みに困難を抱える子は、一般的な教科書体やゴシック体の形状や線の強弱などにストレスを感じたり、手書きの文字との違いに戸惑うことがあります。「UDデジタル教科書体」は、そうしたフォントの欠点をカバーし、書き方の方向や点・ハライの形状を保ちながらも、太さの強弱を抑え、読みやすさを重視したフォントになっています。


ICT教材eboardで「UDデジタル教科書体」導入を希望する100校を募集

このたびNPO法人eboardは、株式会社モリサワのWebフォントサービス「TypeSquare」を導入し、ICT教材eboardのデジタルドリルの問題文、解説文などが、「UDデジタル教科書体」で表示できるようになりました。書体の選択肢を増やすことにより、読みに困難を抱える子などが、学習に取り組みやすくなることがあります。

◆株式会社モリサワのWebフォントサービス「TypeSquare」:https://www.morisawa.co.jp/products/fonts/typesquare/



▲「UDデジタル教科書体」で表示された、ICT教材eboardのデジタルドリル

「UDデジタル教科書体」の導入を希望する場合は、利用する学校・団体単位で申込が可能です。現在NPO法人eboardでは、ICT教材eboardを利用する学校・団体のうち先着100校まで、申込を受け付けています。詳しくはお問合せください。


毎年10月は「ディスレクシア啓発月間」

「ディスレクシア啓発月間」は、ディスレクシア(読み書き障害)についての認識を高め、理解を広めるために設けられた国際的な啓発キャンペーンです。

ディスレクシアを抱える人の正確な数は分かっていませんが、一般的に日本語話者の8%程度、欧米では人口の10%~15%程度と言われています。一方でディスレクシアの認知度はまだまだ高いとは言えず、誤解や偏見にさらされることもあり、適切な支援を受けられる場所も限られています。ディスレクシアを抱える人々が健全な環境で学び、働き、社会参加するためには、社会全体が協力し、支援することが不可欠です。

NPO法人eboardは、ディスレクシアへの理解を促す「ディスレクシア啓発月間」の理念に賛同し、啓発活動に取り組んでいきます。


NPO法人eboardの取り組み

NPO法人eboardは、「学びをあきらめない社会」をミッションに、インターネットを通じて、経済的理由、不登校、障害などの事情を抱える子どもたちの学習機会の保障を目指して活動しています。団体が開発・運営するICT教材eboardは、約2,000本の映像授業と約10,000問のデジタルドリルで構成され、公立学校・非営利活動、ご家庭での利用(個人)には無料で提供。全国の公立学校や学習支援団体、フリースクール、地方の公営塾など11,000カ所以上の教育現場で導入され、毎月20〜30万人に利用されています。

NPO法人eboardでは、ICT教材eboardにおいて、「学びにくさ」を解消・軽減する機能の開発に取り組んでいます。今後も様々な理由から学びづらさを抱える子の学習機会の保障に向けて、活動を継続していきます。

◆学びやすさへの工夫:https://info.eboard.jp/manabiyasusa.html

本件に関する問い合わせ先
・NPO法人eboard 吉永
・support@eboard.jp

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