不登校・子ども支援団体研修プログラムeDojo[イー道場]

お知らせ

日野市・柏市の教育支援センターで、不登校・子ども支援団体研修プログラム eDojo [イー道場]の実証事業を実施

日野市・柏市の教育支援センターで、不登校・子ども支援団体研修プログラム eDojo [イー道場]の実証事業を実施

文部科学省が2022年度に実施した調査で、不登校の小中学生の数が29万9,048人となり、過去最多を更新しました。そのうち約4割にあたる11万4,217人は、学校内外での相談・支援を受けられていないことも明らかになりました。一方で、様々な背景から不登校に至った子ども達をサポートする人材の不足が大きな課題となっています。NPO法人eboardでは、不登校・子ども支援団体研修プログラム eDojo [イー道場]を、2023年に6月からフリースクールなど民間団体向けに提供していますが、このたび、自治体への展開を目指し、日野市(東京都)・柏市(千葉県)の各教育委員会が運営する「教育支援センター」での実証事業を行いました。

不登校の小中学生が30万人に迫るーうち約4割が支援受けられず

文部科学省が2022年度に実施した「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」で、不登校児童・生徒の数は、2021年度から22.1%(5万4,108人)増の29万9,048人となり、過去最多を更新しました。2年間で約10万人増加となり、増加に歯止めがかからない状況です。



△文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」より作成


不登校の小中学生のうち、約38.2%にあたる11万4,217人は、学校内外で専門家などの相談・支援を受けられておらず、「居場所」や「学びつづけられる場所」につながっていないことも明らかになりました。GIGAスクール構想によって普及した1人1台端末を持ち帰り、オンラインでサポートを受けるような取り組みも始まっていますが、教員の多忙化も叫ばれる中で、不登校の子や家庭が、十分な支援を受けられずに孤立してしまう状況を生み出しています。

不登校の子をサポートする人材の不足が課題

2016年、教育機会確保法の成立で、不登校でも学習できる機会を確保することが、国や自治体の努力義務とされました。近年の不登校の児童・生徒の急増を受けて、国や自治体では、不登校問題への対応を強化しています。文部科学省は、公立小中学校の空き教室で不登校の子の学習指導などをおこなう「校内支援センター」6,000校の新設に向けて予算を計上。東京都では、フリースクールの授業料への補助金を倍増(月額2万円を上限)し、将来的にはフリースクール運営事業者への補助も検討されています。

一方で、行政(教育支援センターなど)、民間(フリースクールなど)を問わず、不登校の子をサポートする人材の不足が大きな課題となっています。様々な背景から不登校になった子へのケア、サポートを適切に行うことのできる人材の育成、質の担保が求められています。

不登校・子ども支援団体研修プログラム eDojo [イー道場]とは

2013年の設立以来、NPO法人eboardは、不登校の子がいるご家庭だけでなく、民間のフリースクールや学校の相談室、教育委員会が運営する教育支援センター等へのICT教材の提供を通じて、不登校の子ども達の学びをサポートしてきました。

NPO法人eboardは、学習支援にとどまらず、不登校の子ども達がつながりを持てる「居場所」「学びの場所」を社会全体で整備していく必要があるとの考えから、不登校支援を行う現場を対象とした研修プログラム「eDojo(イードウジョウ)」を開発、2023年6月より、フリースクールなど民間施設向けに提供を始めました。現在、約10団体以上が受講しています。

◆eDojo について:https://info.eboard.jp/edojo



eDojoは、1本8分未満のレクチャー動画で構成されたeラーニングと、組織内での学習を進めるグループワークを組み合わせたハイブリッド型のプログラムで、多忙な教育・支援現場でも利用しやすいものになっています。プログラム内の講座は、対人支援のための教育心理、学習支援、こども家庭福祉の3分野、フリースクール等民間団体の運営のための組織運営分野の計4分野で構成されています。



eDojoの正式な提供に先立ち、2022年度にフリースクール向けに実証事業を行いました。実証の結果、スキル分野別にeDojo受講前後を比較すると、5領域のうちeDojoを受講した4領域すべてにおいて、プラスの変化が見られました。また、eDojoの受講が居場所のスタッフに求められるコンピテンシーの習得に寄与していることも、確認されました。
◆実証成果について、詳しくはこちら:https://info.eboard.jp/news/info/20230515.html

日野市・柏市の教育支援センターで実証事業を実施

コンピテンシーの習得への寄与が確認されたことを受け、NPO法人eboardは、このたび日野市(東京都)、柏市(千葉県)の各教育委員会が運営する「教育支援センター」で、eDojoの実証事業を行いました。

実証のための研修は、対人支援のための教育心理、学習支援、こども家庭福祉の3分野から構成されています。受講者は、あらかじめ各自動画でeラーニングを行い(カタ)、その後のグループワーク(クミテ)で現場での対応について振り返るとともに、メンバー間で共有を図りました。

NPO法人eboardは、自治体においても人材育成に資するプログラムとしてeDojoを展開することを目指し、2市との実証事業を実施しました。



△柏市教育支援センターで行われた実証事業の様子


<日野市教育長 堀川 拓郎 氏コメント>

全国の傾向と同様、日野市の不登校児童生徒数も大きく増加しています。向き合うべき問いは「子供たちの学びへのアクセスの保障のために何ができるか」であり、このために、官民や行政の縦割りを排して取り組むことが不可欠だと考えます。

その際、安心・安全な居場所の選択肢をつくる、という量的な側面に加えて、そこに学びや必要な支援の手立てがあるか、という質的な側面について考えることも重要です。この課題に向き合うため、NPO法人eboardさんと連携し、eDojoの実証をご一緒させて頂きました。

まずは教育支援センターの職員で実施し、結果によっては学校の内外で子供たちと直接関わる様々なスタッフにも広げられるかもしれない。もしそうなれば「質」という観点で大きな意味を持つ取組に育つ可能性があると、期待しています。


<柏市教育長 田牧 徹 氏コメント>

柏市では、不登校児童生徒への支援の一つとして、教育支援センターを市内5カ所に設け、教育の機会の確保や居場所づくり、また、家庭訪問による支援を行っております。利用者増加に伴い、児童生徒個々のニーズは様々であり、センターの環境整備の充実を図るとともに、児童生徒に関わる指導員の資質向上に係る研修をどのように行っていくか課題でした。

今年度、指導員を対象にeDojoの研修プログラムを実施させていただき、テーマに基づいて、自身の振り返りを含めた考えの表出(カタ)や、実際利用している子どもたちをイメージしながら話し合い(クミテ)を行いました。指導員それぞれの考えや思いを積極的に伝えあうことで、教育支援センターにおける支援の在り方について、今までの支援法を見直したり、新たな視点を見出したりすることができました。

本研修を活かし、今後も指導員のスキルアップを図りながら、児童生徒個々のペースに合わせた、きめ細かな支援に取り組んでまいります。

NPO法人eboardの取り組み

NPO法人eboardは、「学びをあきらめない社会」をミッションに、インターネットを通じて、経済的理由、不登校、障害などの事情を抱える子どもたちの学習機会の保障を目指して活動しています。団体が開発・運営するICT教材eboardは、約2,000本の映像授業と約10,000問のデジタルドリルで構成され、公立学校・非営利活動、ご家庭での利用(個人)には無料で提供。全国の公立学校や学習支援団体、フリースクール、地方の公営塾など11,000カ所以上の教育現場で導入され、毎月20〜30万人に利用されています。

急増する不登校の子への支援にくわえて、教員の確保も難しくなる中、子どもに関わる教員や支援者の質の確保がこれまで以上に求められています。NPO法人eboardは、教材開発にとどまらず、子ども達が安心して過ごし、学ぶことができるよう、今後もこうした課題への解決に取り組んでいきます。

本件に関する問い合わせ先

・NPO法人eboard 吉永

・メールアドレス:edojo@eboard.jp

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