不登校経験やスペシャルニーズ  一人一人の課題に応じて、柔軟な学び直しを実現

明蓬館高等学校SNEC (スペシャルニーズ・エデュケーションセンター)

高校生

取り組みのポイント

  1. 1. 特別支援教育コースでeboardを活用。一人一人のニーズに合わせて、中学の戻り学習に。
    2. eboardでモデリング学習。基礎を身に着け、型を学ぶ。
    3. ICT教材の活用で、先生はコミュニケーションに注力。「教え、教えられる」から「一緒に考える」関係に。

明蓬館高等学校SNEC(スペシャルニーズ・エデュケーションセンター)について、教えて下さい。

通信制高校の明蓬館高等学校の中に「スペシャルニーズ・エデュケーションセンター(略称SNEC)」という特別支援教育コースがあります。もともと明蓬館高校は発達に特性がある生徒を受け入れるというニーズがあって設立されましたが、より専門的な支援が必要ではないかという発想でSNECができました。

各拠点に教員のほか、発達障害支援員や相談員(公認心理師や臨床心理士)が配置され、1人の生徒に対して教育・福祉・心理職の専門的立場から、同じ責任感を持って支援しています。

在籍している生徒はほとんどが(発達障害等の)診断があり、中には精神や療育の手帳を持つ生徒もいます。不登校経験のある生徒が多く、中学校で学びきれていなかったという状況があります。

※本校所在地:福岡県田川郡川崎町
SNECヘッドオフィス:東京都品川区北品川6-7-22

eboardを使い始めたきっかけは?

中学校からの戻り学習の必要な生徒が多いこと、「授業」という形で一斉に学ぶのではなく「この問題はどうやって解いたらいいのかな?」と課題提議型の学習をする方が合っている生徒が多いという状況がありました。年間授業計画に合わせて学習していくよりも、その子のニーズに合わせて学びたいところから学び直せる教材が必要でした。

現在の活用状況について、教えて下さい。

eboardは品川・御殿山と横浜・神奈川の2拠点で活用しています。eboardをベースに使っていますが、生徒一人一人のニーズに合わせて他教材と組み合わせています。

日中の時間帯でも、宿題としても利用していますが、自立学習の時間で使うことが多いです。自立学習では、ネット授業を見たり、レポート等の添削課題をしたり、マイプロという成果学習(※)をしています。生徒によってはマイプロ学習の一環としてeboardをする子もいますし、「中学校の戻り学習」をしたいという場合も、先生と本人が相談しながらeboardを進めていきます。

生徒によっては、紙媒体の方がいい場合もあり、本人に選択させながら動画ノートを使う場合もあります。

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活用方法も、活用頻度も、生徒の課題や意欲によって、柔軟に変えています。中学からの学び直しということで、英数の利用が多いですが、英数に抵抗感のある子は理社からやってみる子もいます。下の学年や小学校の復習をしたいけど恥ずかしい、他の子の前でテキストを広げたくないという生徒もいますが、eboardであればタブレットやパソコンでできるので、そこも利用しやすい点ですね。

明蓬館高校にはネットコーチングコースもあり、オンライン学習にも対応しています。ネットコーチングコースでもeboardを使っているケースもあります。

※マイプロ学習とは明蓬館高校で取り組んでいる、マイプロジェクト、マイプロデュース、マイプロダクト、マイプロフェッショナルなどの意味を持ち、やらされる感のある「受動的な学び」ではなく、「積極的、能動的な学び」を促進する成果物学習です。

eboardが明蓬館高校の生徒にマッチした点について、教えて下さい。

モデリング(※)という観点から考えると、「どのように解くのか、どのように考えるのか?」というモデルが提示され、それを真似ることから始めて、他の問題に発展していく形が一番学習化しやすいと思います。eboardは最初に動画で解き方のモデルを提示していますから、そこが非常に使いやすいです。

勉強が苦手な子、導入の部分でつまずいている子には「こういう風に解いていけばいいんだ!」というモデルが順序立てて提示されることで、安心感や学びやすさにつながります。eboardは動画の内容と、問題の内容が全く同じです。他教材でも導入のアニメーションがある教材はよくありますが、次の問題と全く同じではないケースがあり、勉強が苦手な子はそこがうまくリンクできないと、つまずきの原因になります。eboardは基礎を身に着ける、型を学ぶという観点では非常に良いと思います。

また、「手元を写している」点も重要だと思います。手元でどう動くのか、どう変化するのか。例えば数学の動画で途中式が丁寧に見えるのは、生徒の安心感につながりますね。

※モデリング・・・人は自身の体験だけでなく、他者の行動を観察・模倣すること(=モデリング)によっても学習する、という社会的学習理論(モデリング理論)の考え方。

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子ども達や学習環境に、どのような変化がありましたか?

一番大きいのは、先生が勉強を教える時間よりも、コーチングやコミュニケーションに使える時間がとても増えたことです。教える、教えられる関係性ではなく、同じ視点に立って一緒に考えてみる関係性に変わってきました。

教えることに時間を割くのではなく、一緒に考えたり、悩んだり、コミュニケートすることに時間を割けるのが、対人関係を育てる面でも一番大切だと考えています。

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取り組みの充実に向けて、NPO法人eboardに期待すること

不登校でひきこもりがちな生徒は、時事に触れる機会が少ないこともあります。政経分野で小中学生どの学年でも使えるような教材があると嬉しいです。あと国語の読解があると嬉しいですね。ぜひeboardの教材もアップデートしていってほしいと思います。

参考リンク

明蓬館高校SNECのホームページ

本校所在地:福岡県田川郡川崎町
SNECヘッドオフィス:東京都品川区北品川6-7-22

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